故人をしのんで発想豊かな演出ができる家族葬

家族葬も、ご遺体のお迎えから火葬までの基本的な流れは一般的なお葬式と同じです。死亡届や火葬許可証の申請など法的手続きを終えておかなければお葬式自体を執り行うことができない点も同じです。しかし、多岐にわたる慣習やマナーがあり、喪主をはじめ遺族がやるべきことが多い一般葬に比べて、家族葬はお葬式の内容自体は自由な発想で個性豊かに演出できる点は大きな違いです。

例えば仏式の一般葬では絶対不可欠と思える僧侶の読経ですら、遺族が必要性を感じなければやらなくてもよいのです。音楽一家で、生前はバイオリニストであった故人のお葬式では、お経の代わりに遺族たちが弦楽四重奏で重厚な曲を演奏して送り出すという演出もあります。あまり宗教的な観念が強くない遺族の場合は、焼香をせず、代わりに故人が生前大好きだったバラの花を棺が見えなくなるほどたくさん手向けて冥福を祈るというスタイルもあります。

ポイントは、故人がきっと喜ぶだろうと遺族が考え、常識的な範囲内で創造性豊かな時間を共有することにあり、これが家族葬の特徴です。伝統的な様式が悪いというのではなく、価値観と選択の自由という問題なのです。ですから、愛犬家が亡くなった時には、以前生きていた愛犬の写真をお棺に入れたり、ビデオ撮影が趣味だった故人であれば、日常生活や旅行など遺族が共有できる思い出の映像とともに故人をしのぶという演出もまったく問題ありません。心から故人の死を悲しみ、受け容れ、納得して送り出すために豊かな発想と愛情で包み込んだ演出が家族葬の良さです。